支援者の皆様へ

私たちの活動は、あくまで居住環境の支援です。福祉専門職の集団でもありません。したがって、生活の全体を見渡せば当然のことながら私たちだけではよい支援はできません。医療のこと、福祉サービスのこと、仕事のこと、その他の悩みなど・・・当事者を支えるためには、どうしても皆さまのご指導とご協力が必要です。私たちからご連絡を差し上げた折には、何卒よろしくお願い申し上げます。

また、現行の制度上、「実効性のある一人暮らし支援制度」はほとんど存在していません。全国からご相談をいただいているのもそのためだと思われます。入居支援が制度化され、私たちの役割が終わることが理想ではありますが、「今そこにある課題」は私たち現場で知恵を絞り、解決しなければなりません。
もし、私たちがその一助になるのであれば、ぜひご連絡ください。すでに個別支援計画などを作成されている場合には、その方針に沿った側面支援を行います。
私たちは、介護保険法も障害者総合支援法も適用されないので財政基盤は弱いと思います。一方で、それがゆえに比較的柔軟に活動できる利点があります。こうした点もうまくご活用いただき、支援体制の片隅でお手伝いさせていただければうれしく思います。

皆さまのご理解とご指導を心からお願い申し上げます。

なお、関係する支援者の皆さま向けに、東京こうでねいとの活動を紹介するリーフレットをお配りしています。ぜひご覧ください。

★「東京こうでねいと」は、東京都の居住支援法人の指定を受けました(指定番号 東京都知事第23号)。

私たち「東京こうでねいと」は、2019年9月に東京都から「居住支援法人」に指定されました。

 この制度は、改正住宅セーフティネット法(平成29年10月25日施行)に基づき、住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、住宅の確保に特に配慮を必要とする方々)の賃貸住宅への入居に係る情報提供・相談、見守りなどの生活支援を行う法人を、都道府県が指定することができる制度です。
 「居住支援法人」に指定されただけでは、皆様への支援や法人の運営に財政援助などがあるわけではありません。それでも、国や自治体が「お部屋探しや一人暮らしの難しさ」に少し目を向けるようになったという意味では第一歩とも言えます。

地域における居住支援の現状は?

いわゆる住宅セーフティネット法の施行により、市区町村レベルでも「居住支援協議会」が動き出しています。昨年(2019年)、私たちの拠点がある町田市でも「居住支援協議会」が発足しましたので勉強会にも参加してきました。

勉強会で感じた印象としては・・・

① 高齢者や障害者など賃貸住宅への入居が難しい方々にとって、実質的な助けになるような支援をスタートできているのは、財政力のある政令指定都市などに限られているようです。多くの市町村では、まだまだ「居住支援協議会」を発足させるだけで精一杯なのかもしれません。

② 高齢者の場合、介護保険による生活全般の支援がセットになることが多く、お部屋を提供いただくオーナーさんとしても安心できる材料が多くなります。しかし、障害者(とくに精神障害者)の場合、生活支援のシステムは高齢者に比べると薄いと言わざるを得ません。その結果、居住支援の成功事例も精神障害者は少ないようです。

・・・以上のことから、前進はしているものの「精神障害者や低所得者の部屋探し・一人暮らし」に向けた公的支援は十分とはいえません。私たちを含めた支援団体の自助努力は続けなければならないと思いました。

精神障害者と住宅セーフティネット法

住宅セーフティネット法により、いわゆる社会的弱者といわれる人たちが住宅を借りるためのハードルは以前よりは下がりました。ただし、そうした傾向の中でも精神障害者が「一人暮らしをする」「部屋を探す」という場合には、まだまだ厳しい現状もあります。なぜ厳しいのか・・・私なりに考えてみました。

理由① 精神障害者に対する無理解

一昔前と比べれば理解は広がっているという印象もありますが、いざ「契約」とか「保証」というレベルになると敬遠する不動産屋さんも多いです。かつて精神障害者と入居契約をしたが、その後トラブルが起きたので「精神障害者はみんなダメだ」という先入観ができてしまっている業者さんもいらっしゃいます。精神障害者と言っても症状の内容や重症度で皆さん違うのですが、そのことまで理解が広がるには時間がかかるようです。

理由② 伴走型の支援者が少ない

高齢者の支援では、ケアマネージャーが支えてくれることが多いですが、障害者福祉制度では、ケアマネほどの存在はいません。近年、計画相談員という制度はスタートしましたが、その待遇などの面から十分な伴走支援まではできていないように思われます。

現実はまだまだ厳しいのですが、悲観的に考えるばかりでは何も変わりません。私たちとしては厳しいことを前提としつつも「それでも何とか契約に至れないか?」「一人暮らしが実現できないか?」を模索します。こうなれば精神障害者でも確実に一人暮らしができるというマニュアルはありませんが、ご相談いただくお一人お一人の状況に合わせて最もよい方向を探していきたいと思っています。